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イベントレポート
【イベントレポート】2/17(金)開催、モーションコースミニ講座

C&R Creative Academy(以下:アカデミー)を多くの人に知ってもらいたく、2月17日(金)に3度目のオープンキャンパスを開催しました!

オープンキャンパス恒例となったコンテンツ「特別ミニ講座」。今回は3Dモーションコースの講師をお招きしました。

「モーションについて少しでも興味を持ってもらいたい!」
「モーションデザインの世界を知ってもらいたい!」

そんな想いを胸に、第一線で活躍する現役デザイナーでもある講師が、アニメーションに欠かせないかっこいい動きを熱血レクチャー。
身振り手振りで解説するという超個性的な授業をレポートにしました!

3Dモーションコースミニ講座の流れ

1.オープンキャンパスミニ講座(知られざるモーションデザインの世界)

2.昼間3Dモーションコース講師からのメッセージ

3.おまけ(昼間3Dモーションコース講師と卒業生や塾長との対談)


[進行]C&R Creative Academy責任者:佐藤 浩平(※以下:佐藤

[講師]3Dモーションコース講師:佐久間 朋実(※以下:佐久間

[ゲスト]3Dモーションコース卒業生:佐久間 いずみさん(※以下:いずみ


特別ミニ講座~知られざるモーションデザインの世界~

佐久間:
モーションコースの講師をしております。佐久間と申します。よろしくお願いいたします。

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Mayaを使ってモーションを作成

佐久間:
本日はゲストとして卒業生の方をお呼びしております。
実は卒業生の方も「佐久間さん」と私と苗字が被っているので、お名前で「いずみさん」と呼ばせていただいております。

では、早速講座を始めていきたいと思います。3DCGの方を触ったことある方とそうでない方がいらっしゃると思います。
今、私が画面共有して触っているのがMaya(マヤ)というソフトです。

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実際のMayaの画面

一般的にゲーム会社で使用されているソフトです。アカデミーでもモーションコースではMayaを使用してアニメーションを学習しています。
本日は何をするかといいますと、「パンチモーション」を作っていきます。
今、共有して動かしているモーションは、在学中のアカデミー生の課題作品です。勉強途中の課題データを借りてきた未完成のものです。

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勢いのない「へなちょこパンチ」ですが、これを「どうやったらカッコよく表現していけるのか?」を一緒に勉強できればなと思います。

みなさん、アニメーションってどのような要素でできているかご存じでしょうか?普段アニメを見ていても、あまり意識されないと思います。
アニメーションのモーションというのは、大きく分けると「ポーズ」「タイミング」「軌道」の3つに分類できます。
一番最初に直していく動きのタイミングを調整していこうと思います。

パンチに速度をつけてかっこよく

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佐久間:
パンチのカーブが見えているかと思います。これがコントローラであり、数値のカーブというものです。
これがグラフエディターという部分であり、カーブを表示しながらアニメーションを作っています。
パンチの速度が遅いので、全体的にパンチをかっこよくするには、尺度を短くしていきますね。

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溜めのポーズからヒットポーズの部分のスピードを上げて、早くしてあげようと思います。

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構えた部分のフレームからパンチまでのフレームをグググッと縮めてあげると、さっきよりも勢いが出ました。このように、アニメーションというのは「スピード」と「タイミング」が重要になります。動くタイミングによって雰囲気が変わるよっていうのが、1つの要素です。

ポーズの調整に重要なのは「重心」

佐久間:
次は、ポーズの調整をしていきます。ちょっと立って表現しますね。
ちなみに他のコースの講師はDiscordでチャットしながら授業をするらしいですが、私はアニメーションのコースですので…
このように私が身体を張って説明することが多いです(笑)

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まずは拳を構えます。強いパンチを打つには、1歩後ろに足を引いた状態で力を溜めなければいけません。これを「予備動作」といいます。

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つまり、待機ポーズがあって、溜めポーズがあって、ヒットポーズがあって、待機ポーズに戻るということになります。このモーション、実は溜めポーズがないんですね。いきなりパンチに出てしまっておりとても不自然なので、6フレーム目に後ろに下がる溜めポーズを作ります。
人間は腰でバランスをとっています。腰を支えるためにしっかり足がついていないと転んでしまいますよね。
今のポーズがどういう状態かというと…

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佐久間先生が動き出しました!
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佐久間先生の動きをMaya上で表現してみると…

こんな感じでカッコ悪い状態なんです。
いつもこんな状態で、バタバタしながらやっていますよ(笑)上半身を反らせて、重心が後ろ足だけでバランスが取れるようにしてあげます。
この辺の細かい説明も授業ではしていますので、みなさんも入校していただければ、この課題もより詳しく教えます!
「みなさんにお会いできるのを楽しみにしております!」とか言っておこうかな?(笑)

ポーズの確認は自然な動きであるか?

佐久間:
ここで改めて、溜めポーズからヒットポーズまでの間の動きは「果たしてこれでいいのかな?」というのを確認していきます。
パンチを打った状態を頭上から見ていきます。実はこのモーション、斜めにパンチが入っているんですね。

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斜めに入るパンチって弱そうですよね!
では、どうやったら綺麗にパンチが打てるのか改めて身体を張って確認したいと思います!
パンチを出すまでに、予備動作からヒットポーズまでに1ポーズ必要そうですね。追加する動作のポイントは、「重心から先に動く」です!
重心が優先的に動くので、ほかのパーツは重心より遅れて動きます。

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このモーションが加わることによって、人はさらに力を溜めることができます。拳を前に振るために、最初にものすごい速さで重心を前へ出し、
捻りの回転と逆回転で上半身を前に持ってくることによって、さらに強いパンチが打てるようになります。
このモーションは腰(重心)と腕が一緒に動作していたので、先ほどの「へなちょこ猫パンチ」みたいにかっこ悪くなっていたんですね。

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ということで、体の捻りが入るポーズを追加しました。

修正前後を比較して違いを実感

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パンチモーション修正前後:頭上から確認
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パンチモーション修正前後:正面から確認
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佐久間:
モーションを作る上で、「どのようにアニメーションを突き詰めていくのか?」「どのように考えているのか?」という点について理解できたと思います。
また、私の授業の進め方や雰囲気も味わっていただけたのではないでしょうか?

「袈裟斬り」のモーションが重要な理由

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佐久間先生が刀を握っているイメージでご覧ください!

佐久間:
「なぜ袈裟斬りが重要なのか?」といいますと、武器を持っているキャラクターが多いので、
「セットアップ」という武器を持った状態の準備ポーズを一緒に考える授業をやっています。
刀を振るまでの準備動作を「コンストレイン」と言います。アニメーターになれば、コンストレインが実務として必須なのです。

アカデミーで悩んで学べば、心構えができるのではと思いやっています。
また、Discordでの雰囲気はフランクで、生徒と講師のような関係を意識していません。
いい作品があったら教えていただいたり、受講生からゲームのデータの作り方を聞かれたりと気軽に話せる環境です。

講師からのメッセージ

佐久間:
実は業界でモーションデザイナーが不足しています。私がアカデミーの講師になった理由は
「モーションを作る仲間をもっと増やしたい!」からです。一緒に働いて、色々なゲームを作りたいなと思っています。
専門学校で学ばれている方はご存知でしょうが、アニメーションの授業ってものすごく短いんですね。そのため、モーションの希望者って少ないんですよ。
私は「1人でも多くのモーションデザイナーの方に業界に入っていただけたら!」
と思って授業しているのですが、なかなか興味を持ってくれる方が少ないんですよね(笑)
私の拙い授業でしたが、見ていただいて興味を持っていただけると嬉しく思います!

おまけ1:講師&卒業生の対談

佐久間:
いずみさんは先々月に卒業しましたが、アカデミーの授業はどうでしたか?Discordではどんなことをみんなで話していましたか?

いずみ:
参考書探しをみなさんに手伝ってもらうこともあれば、逆にみんなの作品に提案していることもありました。
それこそ全く関係のないカフェの話をしていることだってありました(笑)

佐久間:
そうだね!私も授業のときに雑談することがよくあるんですけど(笑) 受講生さん同士でリラックスしてもらいながら課題を進めてもらっています。
ちなみに、このパンチの課題はどうでしたか?

いずみ:
タイミングがなかなか大変でした。

佐久間:
そうだよね!自分がパンチ打つタイミングって実際にないからね(笑)

いずみ:
生活していてなかなかパンチを打つ機会はないですね!

佐久間:
というより、打っていたらちょっと問題があると思うね(笑)
アニメーションは、普段の動作を分析して、それを具現化する仕事に近いんです。
私の授業は教本を使いつつ、「この動きってどうなっているの?」「この重心はなんでここにあるの?」という質問形式が私の授業の特徴ですね!
そのため卒業生は、モーションの説明ができるようになった方が多い印象を受けています。

人間はそれぞれ体型が違っていて、人間以外のキャラクターを作ることもあります。
しかし、基礎は同じなので、モーションの説明ができると応用が効くようになります。
塾長の佐藤が話している「より実践に近い形が学べる」ということがまさしくこのことなんですよ。

おまけ2:塾長が講師に質問してみた!

佐藤
私から佐久間先生に質問があります。
割と、モーションデザイナーになろうって方って少ないじゃないですか?佐久間先生は、なぜモーションをやろうと思ったんですか?

佐久間:
元々、「マットペインター」(※)という職種に就きたかったんです。
専門学校で学んでいく内に、自分は向いていないなと早い段階で気づいてしまいました。その時に運良く、アニメーターの先輩に出会いました。
その先輩と仲良くなり相談したんですね。 そしたら「いや、CGの仕事ってそれだけじゃないよ」って教えていただいて。
それからモーションの勉強をするようになって、就職し今に至ります。

※マットペインターとは、映像に絵を書いて背景を作っていく職種のこと

佐藤
最初って難しくなかったでしたか?

佐久間:
教えてくれる講師も少ないので、私もみなさんと一緒で最初の頃は上手なデータが作れませんでした。就職した後も勉強していました。
難しいですが、モーションはディズニーのアニメーションの技術の時から、基本的な知識はあまり変わっていません。
正直、覚えてしまえば何でもできます。パンチも袈裟斬りもそうなのですが、1つのことを覚えてしまえば応用が効きます!

佐藤
そういうのがあるんですね!モーションの軸というか。「アニメーション12の原則(※)」というやつですね!

※「アニメーション12の原則」とは、1981年にアメリカで初版が発行された『ディズニーアニメーション 生命を吹き込む 魔法 ― The Illusion of Life ―』の中に書かれているキャラクターに命を吹き込む12種類の原則のこと

佐久間:
よくご存知で!最初の授業でそれをやります!
お時間となりましたね!みなさん、本日はご清聴ありがとうございました!!

まとめ

何気なくやっている動作をアニメーションに表現するモーションをご紹介しました。
佐久間先生のフランクで楽しい授業の雰囲気を知っていただけたかと思います。
C&R社が運営するクリエイティブアカデミーでは、授業料無料でCG・ゲーム業界を本気で目指す方をプロへと育成しています。
毎週説明会を実施しておりますので、クリエイティブアカデミーのWebサイト「説明会に参加する」ボタンからご応募ください!

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